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地震時地盤災害の4分の1地域メッシュインベントリ
国土地理院 地理地殻活動研究センター 地理情報解析研究室
2024年2月20日
概要
本ページで公開するデータは、過去の地震で生じた地盤災害(主として斜面崩壊・地すべり、一部液状化)の範囲を文献等から収集し、「統計に用いる標準地域メッシュ及び標準地域メッシュ・コード(昭和48年行政管理庁告示第143号)」で定められた4分の1地域メッシュ(通称5次メッシュ:緯度方向7.5秒×経度方向11.25秒 、約250m四方の区画)単位で集計したShapeFileのポリゴンデータです。
集計方法について詳述したこちらの文献を必ずご一読ください。
下図は大きな崩壊地が崩壊部と堆積部のポリゴン、小さな崩壊地がケバで描画された災害状況図から、4分の1地域メッシュインベントリに取りまとめた際の概念図です。(原データがポリゴンのみ、ポイントのみのケースもあります。詳しくは上記文献と、個別のデータの解説をご覧ください。)
(岩橋ほか,2022)
データの利用方法と利用上の注意
本ページで公開するデータは国土地理院コンテンツ利用規約の下で利用できます。必ずご一読ください。
論文等公開資料に用いる場合は、本ページのURLと、下記文献、さらに、利用するデータの「本データに関するマップ・文献リスト」に挙げられた文献を引用・明示してください。
・岩橋純子・遠藤涼・中埜貴元(2022)過去の地震時地盤災害発生箇所の4分の1地域メッシュデータ化.国土地理院時報,135,69-74. https://doi.org/10.57499/JOURNAL_135_06
なお本データは、SGDASの推計結果(最高で4分の1地域メッシュの解像度)の精度検証用を想定して作成された研究用データです。斜面単位の精密な分析を行いたい場合は、元の文献やマップに立ち戻って分析される事をお勧めします。
データフォーマット
GISで広く使われているShapeFile形式のポリゴンデータです。
ファイル名:地震名_タイプ_4分の1地域メッシュ集計.shp
投影法:JGD2000(EPSG:4612)
フィールド属性情報
【共通】
・KEY_CODE:4分の1地域メッシュコード。
・waterps:平成17年度の国土数値情報の湖沼データに基づく、メッシュ内の水域%。(※ダム湖など現在と異なっている場合があります)
・num_org:集計用ポイント(ポリゴンに50m間隔のランダム点を発生させたもの、あるいは元データがポイントである場合そのまま)の数。
・area:メッシュの面積(㎡)。
・area_riku:waterpsとareaで求めたメッシュ内の陸域面積(㎡)。
・existence:メッシュ内に集計用ポイントがある(1)か無い(0)か。
・density:num_orgとarea_rikuから求めた、メッシュ内の崩壊密度(集計用点数/㎢)。※メッシュ内に1点あれば14~15程度になり、離散的な数値である事にご注意ください。
【一部】
(2016年熊本地震)
・org:ソースデータの作成機関(略称)
(2018年北海道胆振東部地震)
・LiDAR:高解像度のLiDAR画像処理図を用いて判読されたか(1)、空中写真判読か(0)。
各地震のインベントリデータ解説およびダウンロード
1923年関東地震(丹沢山地を中心とする神奈川県内)
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊・地すべり
- 本データに関するマップ・文献リスト
・土地分類基本調査図(土地履歴調査)災害履歴図(地震災害)1:50,000 「八王子」「藤沢・平塚」「秦野・山中湖」「上野原・五日市」「小田原・熱海・御殿場」(神奈川県、東京都)
・Ryo Endo, Junko Iwahashi (2024): Analysis of the spatial distribution of landslides triggered by the 1923 Great Kanto Earthquake, Japan. Proceedings of the Japan Academy, Series B https://doi.org/10.2183/pjab.100.009
- データ整理手法についての補足
上記災害履歴図のうち、「八王子」「藤沢・平塚」「秦野・山中湖」および、「上野原・五日市」の南半分については、同図を元に作成された神奈川県自然災害履歴図GISデータ(神奈川県自然環境保全センター提供)を修正利用した。「上野原・五日市」の北半分および、「小田原・熱海・御殿場」については紙地図を元に新たにデジタイズした。調査範囲については、神奈川県境(調査されていないとの情報があった世附地区の国有林に相当すると思われる領域は分水嶺でカットして除外)と推定し、山地の範囲を大まかに抽出した地域メッシュを調査範囲としてデータを集計した。
- 注意点
インベントリについては、崩壊地が繋がって描かれている箇所が多かったため、斜面崩壊と地すべりを分けずに作成した。
後続研究で現代の数値標高モデルを用いて分析した都合上、発災当時はダム湖は無かった箇所についてもdensityの計算はwaterpsを使って行った(そのためnum_orgが1以上の箇所はwaterpsが100のグリッドにもある)。 existenceも、waterpsが100のセルについては、すべて0としている。
1995年兵庫県南部地震
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊
地すべり
液状化
- 本データに関するマップ・文献リスト
【斜面崩壊・地すべり】
・土地分類基本調査図(土地履歴調査)災害履歴図(地震災害その2)1:50,000「神戸・明石」「大阪西北部」(兵庫県、大阪府)
・国土庁土地局 阪神・淡路地域地形変動図 1:50,000(平成11年3月)
・柳澤秋介・小西啓一・船越和也・岡野和行(2001):六甲山系における地震後の崩壊状況, 砂防学会研究発表会概要集,442-443.
【液状化】
・土地分類基本調査図(土地履歴調査)災害履歴図(地震災害その2)1:50,000「神戸・明石」「大阪西北部」「大阪西南部」(兵庫県、大阪府)
・若松和寿江(2011):日本の液状化履歴マップ 745-2008. 東京大学出版会, 90p (+DVD)
- データ整理方法についての補足
斜面崩壊・地すべりについては、国土数値情報ダウンロードサイトでウェブ公開されている「土地履歴調査(GISデータ)」のうち、山地崩壊・地すべりに相当するポリゴンを利用した。面積が1haを超えた西宮市仁川のポリゴンのみ地すべりとし、他は斜面崩壊とした。なお、これらの図の主要部分の原図は「阪神・淡路地域地形変動図(1:50,000)」と考えられるが、この図にある逢ヶ山周辺の崩壊地は、災害履歴図の図郭外であり、GISデータには含まれていなかった。そのため、欠損部のポリゴンデータは、「阪神・淡路地域地形変動図(1:50,000)」のラスタデータをデジタイズして追加した。調査範囲は柳澤ほか(2001)の図1をジオコーディングした範囲とした。(西宮など範囲外にも崩壊地が描かれているが、柳澤ほか(2001)の図1の範囲に近接する部分は、少し拡張して取り込んでいる)
液状化については、災害履歴図「神戸明石」「大阪西北部」「大阪西南部」を元に作成された若松(2011)のGISデータを利用した。液状化の調査範囲は資料が無かったが、図郭全体を調査したとは考えられないため、液状化のポリゴンが分布する範囲、災害履歴図の図郭、5万の図郭(神戸明石の西半分は未調査ではないかと考えられたため、区切りに利用)を総合して推定した。神戸空港等、当時は海だった所に相当するメッシュは範囲外とした。
2004年新潟県中越地震
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊
地すべり
- 本データに関するマップ・文献リスト
・国土地理院技術資料 D・1-No451 平成16年新潟県中越地震 1:25,000 災害状況図 (2005)
・鈴木義宜・丹羽俊二・田口益雄・関崎賢一・長谷川学・飯田誠・門脇利広(2005):新潟県中越地震の災害状況図作成について.国土地理院時報,107,53-63.
- データ整理方法についての補足
技術資料のGISデータを利用した。凡例の斜面崩壊地(大)(土石流部分は手編集で除いた)を地すべり、斜面崩壊地(小)を斜面崩壊と区分した。
2007年新潟県中越沖地震
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊
地すべり
液状化
- 本データに関するマップ・文献リスト
・「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」情報集約マップ https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H19-nigata-index.html
・岩橋純子・遠藤涼(2023)地震時地盤災害推計装置(SGDAS)の推計結果の定量的検証について.国土地理院時報,136,33-43. https://doi.org/10.57499/JOURNAL_136_03
- データ整理方法についての補足
地理院地図で公開されている上記マップの凡例のうち、 斜面崩壊・地すべりは「災害状況図_斜面崩壊地」がソース。斜面崩壊(大)を地すべり、斜面崩壊(小)を斜面崩壊と区分した。液状化は「災害状況図_液状化の発生箇所」がソース。
2008年岩手宮城内陸地震
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊
地すべり
- 本データに関するマップ・文献リスト
・国土地理院技術資料 D・1-No541 平成20年(2008 年)岩手・宮城内陸地震 1:25,000 詳細活断層図(活断層・地形分類及び地形の変状)(2009)
・星野実・鈴木義宜・岩橋純子・吉武勝宏・田中庸夫・高橋広典(2011):平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震1:25,000詳細活断層図(活断層・地形分類及び地形の変状)について.国土地理院時報,121,29-37.
・岩橋純子・遠藤涼(2023)地震時地盤災害推計装置(SGDAS)の推計結果の定量的検証について.国土地理院時報,136,33-43. https://doi.org/10.57499/JOURNAL_136_03
- データ整理方法についての補足
技術資料のGISデータを利用した。凡例の地すべりおよび斜面崩壊(大)を地すべり、斜面崩壊(小)を斜面崩壊と区分した。
2016年熊本地震
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊
地すべり
- 本データに関するマップ・文献リスト
・Yusuke Sakai, Taro Uchida, Ikushi Hirata, Kazunari Tanehira, Yasumasa Fujiwara (2022) :Interrelated impacts of seismic ground motion and topography on coseismic landslide occurrence using high‑resolution displacement SAR data. Landslides, https://doi.org/10.1007/s10346-022-01909-4
・防災科学術研究所(2016):熊本地震による土砂移動分布図(2016.6.27更新)https://www.bosai.go.jp/mizu/dosha.html
・岩橋純子・遠藤涼(2023)地震時地盤災害推計装置(SGDAS)の推計結果の定量的検証について.国土地理院時報,136,33-43. https://doi.org/10.57499/JOURNAL_136_03
- データ整理方法についての補足
阿蘇カルデラ内はSakai et al. (2022)のGISデータ(国土技術政策総合研究所提供)を用い、カルデラ外は防災科学技術研究所(2016)を用いた。防災科学技術研究所(2016)は土石流部分も含むデータのため、手編集により、土石流部分を消したポリゴンデータとして使用した。
斜面崩壊と地すべりのカテゴリ区分は、ポリゴン面積1ha以上か未満かの他に、下記も参考にした。
・黒川潮(2018)平成28年(2016年)熊本地震によって生じた山腹崩壊.水利科学,359,18-33.
・土木学会西部支部 平成28年熊本地震被害調査報告書 https://www.jsce.or.jp/branch/seibu/00_active/index2.html
・笠間清伸・北園芳人・矢ヶ部秀美(2017)平成28年熊本地震に起因した斜面災害に関する現地調査報告.地盤工学会誌,65-4(711),8-11.
2018年北海道胆振東部地震
- 4分の1地域メッシュインベントリ(Shapefile)のダウンロード
斜面崩壊
地すべり
- 本データに関するマップ・文献リスト
・山岸宏光・岩橋純子(2020):地震による斜面災害のGISを用いた地形・地質解析,in 地震による地すべり災害 ― 2018年北海道胆振東部地震,「地震による地すべり災害」刊行委員会編,北海道大学出版会, 370p (※判読とGISデータ作成は山岸による。空中写真(地理院地図)の他、北海道水産林務部による発災後の航空レーザー測量2mDTMを基にした地貌図(CBZ (株)シン技術コンサル変換・作成)の判読により作成されたものである)
・岩橋純子・遠藤涼(2023)地震時地盤災害推計装置(SGDAS)の推計結果の定量的検証について.国土地理院時報,136,33-43. https://doi.org/10.57499/JOURNAL_136_03
- データ整理方法についての補足
斜面崩壊と地すべりのカテゴリ区分は、ソースデータの凡例による。
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